大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和38年(ネ)174号 判決 1968年3月27日

控訴人 石井啓愛

被控訴人 国

訴訟代理人 古館清吾

主文

本件控訴を棄却する。

ただし、原判決主文第一項中「栃木県塩谷郡船生村大字船生字柿の入七八四三番山林」とあるのを、「栃木県塩谷郡塩谷村大字船生字柿の入七八四三番一山林」と更正する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事  実 <省略>

理由

一、当裁判所も本件両土地の境界線は原判決どおりの線と確定するのが相当と判断する。

その理由は、以下二ないし七の如く付加訂正するほか原判決理由記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。

二、原判決理由(一)の冒頭に「原告所有」とある前に「もと」と挿入し、末尾の「争いがない。」とある次に、「そして、<証拠省略>を参酌すると、控訴人は前同日前記字柿の入七八四三番のうち被控訴人所有の字寺小路入七八四六番山林に隣接する部分を七八四三番一、隣接しない部分を同番の二として分筆し、後者だけを前記訴外人に譲渡したものであることを肯認することができる。(以下柿の入七八四三番または単に七八四三番というのは右分筆並びに譲渡以前の控訴人所有地を指すものとする。)

三、原判決理由(三)の(2) の(二)を削除する。

四、原判決理由(三)の(3) 六行目に「不服申立」とある前に「旧国有林野法(明治三二年法律第八五号)第七条にもとづく」と挿入する。

五、原判決理由(五)の(5) を次のとおり改める。

「(5) なお、<証拠省略>の境界査定簿及び境界査定図には、いずれも被控訴人所有七八四六番山林の西側に「字寺入七七八八番イ」の土地が隣接しているように記載されているが、これを前示各公図の記載(本判決理由(五)の(2) 参照)と対比すると、右査定簿及び査定図の各記載は、「字寺入七七八八番ロ」の土地の地番を「同番のイ」と誤認した結果ではないかという疑が濃いけれども、仮にかかる誤認があつたところで、本件係争両地間の境界査定の効力に影響を及ぼすものでないことは多言を要しない。」

六、原判決理由(八)内の第三行目と第四行(八)の間に次の如く挿入する。

「ところで、旧国有林野法にもとづく境界査定処分は、ただ単に国有林地と隣接地との境界を調査するだけではなく、これによつて両地の境界を確定し、国の所有に属する地域を決定する効力を有する一種の行政処分と解すべきである。」

七、当審における控訴人石井啓愛本人の供述中以上の認定(引用にかかる原判決理由の認定を含む)に反する部分は採用し難い。

八、よつて、本件控訴は理由がないものとして棄却し、控訴費用は民事控訟法第八九条に従い控訴人の負担とすべきものとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 岡部行男 川添利起 坂井芳雄)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例